I鮨に似合うのは、わさびとショウガと熱いお茶!
「そんなこたあ!誰でも知ってるぜ!こちとら江戸っ子ダイ!」などと金沢から発信しても一向に意気は上がらない。それでも、金沢には江戸の香りが残る町がある。昔加賀百万石に嫁いできた将軍様のお姫様が連れてきた供の者達が住んでいた町だ。今でも珠姫を祀ったお寺がある。それはさておき、鮨という生ものはやはり鮮度が命、ちょっとでも古くなれば危険が伴う。そこで真打ち登場!それが「わさび」だ。ただからくてツンと来るというだけではない。強烈な殺菌力があるのだ。だからわさびは、ネタに付けて食べるのが本当の食べ方だ。それでも暑い夏は、安心できない。予備役兵を準備した。それがショウガである。これは単にお口直しというのではない。わさびで殺菌できなければショウガがあるさというわけだ。
本当のお口直しは、熱いお茶なのだ。ぬるいのはダメだ。何たって江戸っ子で気が荒いからね!というわけではなく、鮨ネタには脂肪分が意外に多い。だからそれが舌に膜を作り、味覚の働きを鈍らせてしまうのだ。だから熱いお茶が必要なのだ。猫舌だろうが関係ない!熱いお茶は脂肪分を溶かして味覚を回復する効果があるのだ。
Jスイカと天ぷら…あかの他人!
スイカと天ぷらの食い合わせが悪いのではなくて、体を冷やす果物と油っこいものでは共に体力が奪われて、調子が悪くなるのは当たり前だ。スイカと天ぷらが取りざたされるが、これはどうも水と油が合わないところから出てきた考えのようだ。それよりも、果物と油っこいものと考えた方がいい。体の熱エネルギーを奪って、尚かつ油は肝臓に負担をかける。疲れているときは逆効果なのだ。
K朋(とも)遠方より来たる有り、亦楽しからずや……なすとショウガ
「志を同じくする友がはるばる遠方からたずねて来て、忽(たちま)ち意気投合して語り合う。これは何とも楽しいことではないか。」そういう意味なのだが、なすとショウガはまさに「朋遠方より来たる、また楽しからずや」という関係なのだ。体を冷やすなすと体を温めるショウガは、人間の体にとって絶妙なバランスといっていいのだ。まったくこういう食べ方を考え出した昔の人には頭が下がる思いである。それにしても「秋茄子は嫁に食わすな」というのは、姑の嫁いびりとばかり思っていたが、これがとんだ大勘違いとわかったときは、「穴があったら入りたい」気持ちであった。実は、跡取りを生んでくれる大事な嫁が、体を冷やすなすなど食べて、お腹をこわしでもしたら大変と、家族の思いやりと深い愛情が作り出した「諺」であったのだ。「秋茄子を嫁に食わすな」という言葉は、家族の愛情として語り伝えねばと思う次第だ。