★★今月の人★★
◆大庄社長・平辰さん
■平 辰(たいら たつ)さん
大庄社長
1940年、新潟県生まれ。28歳で焼き鳥店を開業。75年からチェーン展開を開始し、900店以上のグループに育てる。著書に「お母さんありがとう」。
1960年・・・日立製作所入社
1962年・・・友人と割り箸製造会社を起業
1964年・・・詐欺にあって退社、義兄のレストランの店長に
1968年・・・焼鳥屋「とき」を開くが不入りに苦しむ
1971年・・・居酒屋を開店、板前確保に苦心
1973年・・・「庄や」1号店を開店
1975年・・・独立制度を設け、社員の独立を奨励
1994年・・・悩んだ末に、東証に店頭公開
1999年・・・一部上場
2008年・・・現在
■自分の店なら頑張れる
「庄や」「やるき茶屋」などの大衆料理店グループを率いる平が、初めて開いた飲食店には、まったく客が入らなかった。
「店を開けばお客さんは入るものだと思っていたけれど、全然だめでした」
高校を出て東京の大企業に勤めたが、残業と満員電車が嫌になって退社。いくつかの仕事を経た後、東京・大田区に焼き鳥店を開いた。味には自信があったが、客は来ない。残った焼き鳥を持ち帰って自家消費する日々から脱却するため、思いつく限りのことをやった。
仕込みを終えた午後、銭湯に入り、居合わせた客の背中を流しながら自己紹介すると、風呂帰りに寄ってくれる客が現れ始めた。駅前では手製のビラを配り、店の前の通りを端から端まで掃除した。
「掃除は効果がありましたね。地元の商店街の人たちが、仲間として支えてくれました」
半年ほどで軌道に乗り、ここでためた資金をもとに、人を雇って居酒屋を始めた。順調に客は入ったが、今度は逆の悩みを抱えることになった。
「あまりの忙しさに、板前さんたちが『やってられるか』と怒って出て行ってしまった。