古代の日本では、「名は体を表す」の諺のように、
「何は魂が宿っていて、呼ばれると魂が相手に引きつけられ、相手の虜になる」と
信じられていた。
陰陽師・安倍晴明でいうところの「呪」である。
もしこの名前を相手に明らかにするときには”身も心もあなたに捧げます”
という意味なのだ。
それくらい、親に命名された名前の持つ意味は大きく、
またそれを知られることで利用される恐れを抱いていたのである。
それ故に、自分を表すときには、ペンネーム、雅号、通称といったものを持って、
家族にも友人にも世間にも自分を表現して創ってきたのである。
それが普通であった。
現代のように、本名そのまま名のるということはなかったのである。