怒った武士達は、今度は足利氏を先頭に立ててもう一度幕府をおこすことにしたのである。しかし、面白くないという力を持った武士もいる。そういう武士達は、朝廷の南北朝の争いに割って入って、南朝方、北朝方などと朝廷を掲げて自分たちの権利を主張しようとするようになる。こうして、幕府朝廷が入り乱れての南北朝時代という争乱の時代がきてしまうのである。
これが、室町幕府の出発なのである。
だから元々室町幕府というのは、地方の守護大名達の力が強いということなのである。その守護大名達が将軍を支える形で権力を維持してきている。当然権力争いは頻繁に起こるようになる。将軍と側近の守護大名とのしのぎの削りあいということもおこる。要するに将軍の器が要求されるのであるが、そんなに器のある将軍ばかりでるわけではないから、政権は不安定になる。
将軍は名ばかりになってしまうということも出てくる。歴代の将軍は、この守護大名達をどうやって押さえ込むかということに頭を抱えてきた。
守護大名達も問題がある。それは、どんなに頑張っていても、守護大名は将軍の任命である。そうすると、その任を解かれてしまえば、一夜にして全ての基盤を失うことになる。何のためにこれまで営々として基盤を築いてきたのかということになる。だから、都を離れられないということになる。そして守護代を領地におくという形での支配となる。
これでは、不安定な基盤になるから、守護大名達は、地方の在郷武士達を取り込んで被官化を進めるようになる。要するに守護という役職を失っても、領主は俺だぞという親分子分の関係を築こうとしてきたのである。実質的な土地の支配権を確立しようとしてきたのである。
そういう中で、足利義満はその知恵によって盤石な基盤を築きあげたかに見えたが、毒殺されてしまうことになる。その支配体制を確立する矢先であった。4代、5代将軍は側近の大名達の前になす術もなく没して、6代将軍義教が出てくる。彼は「恐怖の魔王」と呼ばれた将軍で寺社領から守護大名までもしっかりと武力で押さえ込んでしまった。それができたのも、彼が「神によって選ばれた将軍」であったからである。しかし、彼は怨みを買った赤松氏により暗殺されてしまう。