★ミツカン中埜又左エ門の襲名★
■襲名という先祖の功労を相続
●襲名で自分の歴史的な位置を知る
襲名ということで有名なのは、お酢で有名なミツカンの社長である。代々ミツカンの社長は「中埜又左衛門(又左エ門)」を名告ることになっていて、実際に戸籍まで変えているというから面白い伝統だ。
実際に風土が人を造るというが、そういうことはあるといった方がいい。何も大都会で何かが進行しているというよりは、消費地としての都会を支える地方の技術力製造能力が新しい時代を創造してきたといえる。
そういう意味ではミツカンは都会と地方のあり方をしっかりと構築してきたように思う。地方文化というものが江戸期を通して熟成され、それが次世代を担う人材の宝庫にもなっている。ソニーの創業者でもある盛田昭夫はミツカンとも関係がある地方産業の担い手である盛田久左衛門家の第一五代当主を嗣ぐ地位にあった。
そういう歴史というのは、地方の物作りの風土を背景にしているからこそ、出てくるということがいえる。ミツカンの社長の又左エ門襲名というのは、そういう伝統と初代の精神を忘れないという大きな戒めがある。
運勢学的には、この襲名というものには直接な意味を持たないのであるが、運命式全体を左右する理念や考え方、価値判断といった見えない部分で大きな先祖的な背景の力になっている。
要するに襲名といっても、全部の名前をごっそりと先祖からいただくという「伊達政宗」公のような例もあるが、この場合は先祖の功績と運勢をそのまま引き継いで、それを現代の環境の中で新たに創造しようという強い意欲の表れになる。
しかしミツカンの場合は、襲名というのは伝統を相続するという老舗の大きな使命を持っていて、その為に先祖の偉業を忘れることなく受け継ぐという意味で、ミドルネーム的な襲名となっている。