「まるで邪魔者扱いされているようで……。こんな思いを、ほかのお母さんにはさせたくない」。これが、学童保育をはじめとする子育て支援を本格的に始めるきっかけとなった。
長男の出産を前に夫の故郷の愛知県半田市に引っ越した。子育てに追われる日々が続き、子どもは好きなのに、「子どもから解放されたい」と思いつめるように。「このままじゃいけない。でもベビーシッターを雇うお金はない。どうしたらお金をかけずにリフレッシュできるのか」
夫の実家は敷地が約2000平方メートルもあり、2階建ての倉庫もあった。後にNPOの名ともなる「プレママクラブ」と名付け、1994年にエアロビクスやヨガ、トールペインティングなど10の教室を、いずれも託児付きで始めた。すべて自分が求めていたものだ。
託児の要望が高まり、無認可で保育園を開設。「補助金をもらえず、スタッフはパートで、経営は苦しかった」と振り返る。国の制度が変わり、02年に法人格を取得。2年後には0〜2歳児を対象とした「のぞみが丘保育園」を自宅敷地内に、08年には2〜5歳児対象の「みらい保育園」を同市東大矢知町に開設した。この4月には、学童保育と英会話教室などの複合施設「みんなのき」を半田市内にオープンした。
「雨が降ったら傘を差し掛けるような、きめ細かいサービスを心がけたい。お母さんの帰りが遅くなる子がいたら、もちろん最後まで面倒を見ます」。9人の子どものお母さんは、明るく笑った。(文・写真 松原輝明)
(2010年4月27日 読売新聞)
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■普通のお母さんが・・・
人が何かをしようとするときは、相当なエネルギーがいるということです。でも誰も自分がそんなエネルギーなんか持ち合わせていないと思い込んでいるみたいです。でもそんなことはないよということをこの「石川裕子さん」は見せてくれました。誰でも思いがあれば何かをすることができるということなのです。その何かは自分で決めることですが、石川裕子さんはそんな勇気を与えてくれる人です。