■ラーメンで支援の輪
東京・文京の店主ら 避難所で無料提供
「ラーメン屋として役に立てるのがうれしい」と被災者が書いたノートを手に話す水本さん 東日本巨大地震の被災者に温かいラーメンを食べてもらおうと、東京都文京区湯島の人気ラーメン店「阿吽(あうん)」の店主、水本タケヒロさん(38)らが、被災地の避難所でラーメンの無料提供を始め、「心も温まった」と喜ばれている。(石川純)
今後1年間は規模を拡大しながら続ける方針。全国500店以上のラーメン店から協力の申し出もあり、ラーメンを通じた支援の輪が広がっている。
「心温まる1杯のラーメン。最後のスープまでありがたくいただきました」「久しぶりの温かいラーメン。この味は忘れることはできません」。テーブルに置いたノートには、こんな書き込みが相次いだ。
23日昼、宮城県気仙沼市立鹿折(ししおり)中学校の避難所となっている体育館。寒風にさらされる屋外で、水本さんを含む6人のラーメン店主らが提供した約800食の豚骨ラーメンには300メートルの行列ができた。家を失い、憔悴(しょうすい)し、震えながら避難生活を送る大人や子どもたちは、温かいラーメンをすすると笑顔を見せてくれた。
「いとこが被災した阪神大震災では何もできなかった」と水本さん。「今の自分ならラーメンで支援ができる」と、知り合いのラーメン店主らと「ラーメン義援隊」を結成し、ブログやツイッターで賛同を呼びかけた。
有名ラーメン店からチャーシュー、製麺会社から麺、「一緒に現地に行きます」という店主など、北海道、博多、東京など500店以上から協力の申し出があった。第1陣として17〜18日、気仙沼市に詳しい仲間が同市内で被災者に提供。水本さんは22〜24日の第2陣に参加した。食材、プロパンガス、水……。必要なものはすべて持参。風で火が安定せず、お湯を一定の温度に保つのに苦労した。
23日夜。ラーメン作りを終えて片付けをする水本さんたちの周りに避難所から60人近くの人たちが集まった。