■釣り仲間 高齢者に井戸水届ける…茨城
断水続く神栖 釣り仲間の活動、軽トラックで街走る
タンクに給水する岩井さん(左)らメンバー(茨城県神栖市知手中央で) 茨城県内の市町村で最も長く全域断水が続き、現在も約2万1500戸が断水している神栖市で、自力で水をくみに行くのが困難な高齢者らに井戸水を届けるグループがある。
市内の釣り仲間たちで声を掛け合って誕生した「がんばっぺ 神栖 お水届け隊」。タンクを積んだ軽トラックが住宅を駆け回り、水が止まった街を救おうとしている。
東日本巨大地震が発生した11日、大きな揺れとともに神栖市内の蛇口から水が止まった。停電で休業していた同市知手中央の「そば処 更科」店主の岩井正さん(52)が12日、市内の知人宅で井戸水の無料給水活動を手伝っていると、水を求める行列の中で重たそうにペットボトルを抱えて並んでいる高齢者に思わず声をかけた。「家まで運んでいってやるよ」。趣味の海釣りで使っている海水を入れるタンクとポンプがあれば、大量の水が運べるとひらめいた。
店の停電が解消された14日から、すぐに釣り仲間数人に声をかけ、ワゴン車の後部座席に水が入った500リットルタンクを積んで出発。最初のうちは「持って行こうか」と声をかけても販売と間違われ、「値段が高い水ならいらないよ」と言われたりもした。隊の存在が口コミで徐々に広がり、水を届けに行った家の隣人が顔をのぞかせ「うちもいいですか」と声をかけられるようになった。
支援者も現れ始め、軽トラック3台、500リットルタンク3個が集まった。メンバーは現在6人に増え、早いときは午前6時半に出発し、遅いときは午後7時半に“注文”があったことも。雨の日にはカッパを着てハンドルを握り、多い日は計9トンの水を届けている。
ある高齢女性宅でペットボトルに給水をしたときのこと。こぼれた水を捨てようとすると、「もったいない、もったいない」と言われた。岩井さんは水の大切さを改めて実感し、「喜んでもらえるなら、どこへでも行こう」と