■被災者応援Tシャツを製作…福島
負けない!ふくしま
福島県の形の中に「負けない!ふくしま」の文字が入ったTシャツを着て作業をする安彦染工場の社員ら 東日本大震災で被災した県民を勇気づけようと、福島市五老内町の染め物業「安彦染工場」が、「負けない!ふくしま」のロゴ入りTシャツを製作した。売り上げから材料費を引いた額を義援金に充てる。4代目社長の安彦雅裕さん(46)は「地元で踏ん張る人たちの姿を見て、いても立ってもいられなくなった。福島のために頑張りたい」と話している。(星野達哉)
染め物業者 売り上げから義援金
同工場は、大正時代に友禅染工場として創業した老舗。国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」内にかけられた暖簾(のれん)の製造元として知られる。
地震による建物の被害はなかったが、直後から工場は断水、ガソリンも底をつき、商品の配送ができなくなった。新年度の行事に合わせて入っていた小中学校の校旗など数十件の注文の約9割がキャンセルされ、休業に追い込まれた。
1週間がたち、ようやく水道が復旧。電子メールで「出社できる人は来て」と社員に呼びかけると、23人全員が出社した。片道10キロ以上の道のりを自転車で来た人もいた。
すると、南相馬市小高区の縫製業の女性が「相馬野馬追(のまおい)」の騎馬武者が掲げる神旗を注文してきた。「家も工場も流された。なかなか連絡がつかないかもしれないけど、今年も野馬追をやりたい。仕事を続けてほしい」。受話器の向こうから響いてきた必死の声。後ろ頭をガツンと殴られたような気がした。「うちの会社なんて全然やられてないじゃないか。どんな環境でも仕事を続けようとしてる。負けてはいられない」
Tシャツには、福島県の形を描き、中に「負けない!ふくしま」とプリントした。「簡単に『頑張れ』というが、被災地の人たちは、まだ落ち込んで