●ショパンは白身魚とワインで晩餐
ピアノの詩人と呼ばれたショパンは、色の白い貴公子のような青年だった。生まれつき病弱で食が細く、ほとんど食事に関心を示さなかったというのだ。
そのショパン21歳の時にパリにきたのだが、交流のあったバルザックやリストは皆食通で有名な人。バルザックなんかはショパンの20倍は食べたというから驚きである。
まるで小鳥のように食べるショパンであるが、そのショパンが愛したのは白身魚とワインの晩餐だ。特に、白身魚の切り身と野菜を入れて、白ワインとバターで煮込んだポトフが大のお気に入りで、これは「ショパン風ポトフ」と呼ばれている。
パリのレストランには、「ショパンの晩餐」というフルコースがあるらしい。野菜のコンソメで始まり、シャンパンを変えたフルーツカクテルで終わるということらしいが、メインはやはり白身魚のムニエルと例の「ショパン風ポトフ」ということだ。
パリに行かれたら一度食するのも一興である。
●シューベルトの奏でた料理は貧しさのつまった美味しいもつ鍋
シューベルトという人ほどお金に縁がなかった人も珍しい。自分から「私は音楽をつくるために生まれてきた」と走り書きが楽譜の裏に残されているが、そのシューベルトは汚い下宿屋で作曲を続け独身を通した。
貧しいシューベルトが、たまに楽譜が売れると必ずあるご馳走を作った。それは故郷ウィーンに伝わる「グーラシュ」をアレンジした鍋料理だ。
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