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貴公たちは、食えないといって騒いでおるではないか。みんなが食えないというから、おれは学校を立てようと思うのだ。
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「食えないから学校を立てる、とは理が通らない」と三左衞門が反論すると、虎三郎は百俵の米なぞ藩の8500人に配ってしまえば、1日か2日で食いつぶしてしまう、として、こう諭した。
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なあに、はじめからこなかったものと思えば、なんでもないではないか。----もとより、食うことは大事なことだ。食わなければ、人間、生きてはいけない。けれども、自分の食う事ばかり考えていたのでは、長岡はいつになっても立ちなおらない。貴公らが本当に食えるようにはならないのだ。
だからおれば、この百俵の米をもとにして、学校を立てたいのだ。学校を立てて、子どもをしたてあげてゆきたいのだ。この百俵は、今でこそただの百俵だが、後年には一万俵になるか、百万俵になるか、はかり知れないものがある。いや、米だわらなどでは、見つもれない尊いものになるのだ。その日暮らしでは、長岡は立ち上がれない。あたらしい日本は生まれないぞ。
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