北条時政は頼朝挙兵の時から後ろ盾になり、頼朝を庇護し援助してきた。それは、北条政子の父親ということもあるが、平氏であった北条がこれから日の目を見て生き延びて行くには頼朝は絶好のチャンスを与えてくれたということである。
創業者というのは、その時代的な要求を巧みにキャッチして、それを上手く自分の生き方に合わせるようにしてこそ成立するものである。
例えば政治状況や周囲の環境、時代の背景が外交力のある人を要求しているのに、そこに武断派の人物が現れればその人は、自分の力を発揮することはできず、そればかりではなく時代から排除されてしまうということにもなりかねない。
北条時政は不思議な人物で、社会面では人情に厚い性格をしているかと思えば、自分の目的に向かって一直線で相手を顧みることもなかったりなどの極端な麺もあるかと思えば、そのくせ仕事運的にはなかなか報われない運勢ということもある。それに人に入れ込んでしまったり、人を簡単に見捨ててしまったりなどの極端な特徴もあるし、何が出てくるかという結構面白い人物でもある。
こういう運命式を持っていたからこそ、伊豆の流人であった頼朝に荷担せざるを得ない不思議な状況に足を突っ込むことになるのである。
この人情に流されたり、情的なつながりが彼の運命を波瀾万丈にしていくことになる。権力の中枢にいればいるほど、こういう人物はやっかいになる。
まあ、あまり頭はよくなかったから結局はやり杉によって自分も出家させられて配流されてしまうことになる。
こういう創業者というのは、時代の流れの中でしか出てこない。通常ではたぶん問題ばかりで出世しなかったかもしれない。こんな人物が権力の近くにいたということが何か時代の意志を感じさせられる。
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